2025.03.21
PSAは前立腺腫瘍マーカーと言われてはおりますが、
prostate specific antigenの略語で 前立腺管内に存在し、男性ならば
だれでも持っているタンパク質酵素です。
この酵素PSAは精液中の精子の運動環境を整える働きをしており、精液中に多量に含まれます。正常な状態ならばPSAは腺管内に存在していますが、
前立腺に刺激または異常のある時 前立腺癌 前立腺炎 前立腺肥大症 尿閉 射精などで血液内に漏れ出てくるため 血液検査のPSAが上昇します。
ng単位は血液1mlに10-9g/mlつまり 10億分の1gの量が1mlに入っている極めて微量な値を数値化しています。そのため 異常のない方でも PSA値は0.6ng/mlくらいの値となります。
患者さんは4.0を超えるとダメでしょと 思われる方が多いですが
この4.0はカットオフ値といい、4.0を超えると統計学的に癌の確率が少しあがり
要精密検査の対象になるだけで、癌が確定したわけではありません。
また、前立腺癌は、ほかの癌種、胃がん 肺がん すい臓がん と
比べ病勢は比較的におとなしく、とくに75歳以上の方は、
手術療法を選択せず内分泌療法(ホルモン療法)を将来導入する可能性が
高いため、PSAが低く、直腸診などで前立腺に硬結を触れない場合は、
定期的PSA時系列測定で対応していくことが考慮されます。
ほかの癌種は早期発見し手術根治または放射線治療、抗がん剤投与しないと
生存に関係してきますが 高齢者の方はPSA4-10くらいの値では仮に治療が
遅れても生存期間への影響は乏しいため、のんびりした考え方になります。
ただし、この考え方は75歳程度の高齢者の方への説明となり、
壮年期の世代の方は、手術療法根治のタイミングを逃さないように
積極的にMRI 前立腺生検などの精密検査を必要としてきます。
前立腺癌の検査、治療の方針は、年齢、既往歴を含めた患者さんの状況が
治療方針を決めていく 入口 となります。
投稿者:
2025.03.14
超音波検査認定検査技師による検査です。
腹部臓器の異常の早期発見に役立ち、身体的負担がない検査です。
肝臓 膵臓 胆嚢 腎臓 脾臓 血管 前立腺 卵巣 子宮 を対象
とします。 無症状で進行していく膵臓癌の早期発見には とても有効とされております。
頸動脈超音波検査はプラークの発見により脳梗塞 狭心症 心筋梗塞
発症前の予防に貢献し 内服治療の必要性なども 判断できます。
一般健診のみでは 将来的に重篤になる病気の早期発見には安心
できません。
是非 1年に1回は腹部超音波検査 頸動脈超音波検査を受けていただき 健康な毎日をお過ごしいただきたく ご案内申し上げます。
投稿者:
2025.03.10
腰背部痛の鑑別疾患について
最近はインターネットで調べて 皆さん 腰部痛があると
尿管結石?を疑い よく泌尿器科を受診されます。
また 整骨院などでも 尿路結石の疑いの可能性を指摘されて
受診される方もいらっしゃいます。
尿管結石の診断には 尿検査で赤血球が尿中に存在すること、
超音波検査にて 疼痛の出現している左右の腎臓に水腎症が認められること、
もしくは CT検査で 結石を確認することが
必要になります。
鑑別していくのに一番大事な要点は 自発痛(なにもしなくても痛いか)
それとも 体動時痛(動かすと痛い)なのか、この違いにより 整形外科領域の筋肉骨系統の痛みなのか 腎臓を含む内臓の痛みなのかを区別することです。
実際に 尿管結石ではない場合、 体動時痛が急性腰痛症、
自発痛としては 急性膵炎 大動脈瘤解離 転移性骨腫瘍 心筋梗塞 など が挙げられます。希ではありますが、硬膜外膿瘍なども あります。
ときに 身体の前側の下腹部痛症状もあり 大腸憩室炎や虫垂炎も 鑑別疾患に挙げられます。
そのため 尿路結石が確定しない場合は CT検査が必要になり、
高次医療機関での内科受診を必要とすることがあります。
体動時痛か 自発痛か これ大事です。
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