2024.11.20
今まで 健康診断で尿潜血を指摘され 病院で調べてもらったら
血の成分はなく異常なしという経験をされた方は 大勢いらっしゃると思います。
日本医事新報1995年に河村信夫先生が文献発表されており、
642名の尿検査で 43%の偽陽性を報告しています。
今回は その 尿潜血陽性でも出血なし⇒ 偽陽性 について
ご説明したいと 思います。
尿に血が混じるとは 正確的には 尿中に赤血球が混在することを
いいます。赤血球とは 血液内に含まれ 酸素を運ぶ役割をしており
赤血球に含まれる ヘモグロビンというタンパクが赤いため
血液は赤くなります。
当然 尿潜血の陽性の指摘を受ければ どなたも 尿に血がでている?
もしかしたら がん?のために出血しているの? など心配することと思います。大事なことは本当に尿の中に赤血球がたくさん存在しているかです。
泌尿器科では尿潜血反応検査と 顕微鏡下の尿沈渣法で 実際の赤血球の有無を確認します。赤血球が出現している場合は 腎炎 尿路結石 尿路系腫瘍 尿路感染症などについて検査を進めていきます。
顕微鏡下の赤血球の写真
では その尿潜血反応検査は試験紙法という簡易的に行う検査法で検診 内科診療所で用いられております。
試験紙法の写真
試験紙法は赤血球内に含まれるヘモグロビンによる ペルオキシターゼ様化学反応を試験紙と反応させて発色させることにより 赤血球有無を判定しています。
そのため 仮に尿中に 赤血球が存在しなくても ペルオキシターゼ反応が
起きてしまうと 尿潜血陽性と 偽りの反応がでてしまうのです。
このペルオキシターゼは好中球といわれる白血球や細菌に多く含まれている酵素です。 そのため尿中に 赤血球が存在せず 白血球 細菌が存在するだけでも 試験紙法では 陽性反応が でてしまいます。⇒偽陽性。
では どのような方が この 偽陽性になりやすいのか?
やはり 男性よりも女性に多く見受けられます。
その理由は 子宮膣からの おりもの に含まれる
古くなった細胞や白血球、細菌が 尿採取の際に 紙コップ内に
尿と一緒に混在してしまうことです。
おりもの は自浄作用として 膣の中を清潔に保つために 雑菌などが
子宮内に侵入するのを防いでくれています。
ただ 検査においては このおりもの成分が 尿中に同時に採取されてしまうと偽陽性反応が生じてしまうのです。
そのため 当院では 尿潜血異常を指摘された女性には 尿採取の際には
赤ちゃんのおしり拭きなどで使用する 清浄綿などで 陰部を拭いて頂いてから採取をお願いしています。
是非 女性の方々は 検診 医療機関での尿検査の際には 陰部を清潔にしてからの採取を試みてください。
尿潜血偽陽性の可能性を改善できると思います。
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