こんな症状ありませんか?
以下の症状に思い当たることはありませんか?症状とその原因についてまとめました。
夜中に何度もトイレに起きる、一日中何度もトイレに行く
尿の切れが悪くてちょい漏れがある、最近尿の勢いがなくなった
間に合わないことが心配でトイレばかり気にしている/台所、玄関でトイレに急に行きたくなる
実際に尿が漏れてしまう
排尿後なんだかスッキリしない、残尿感・違和感がある
排尿時に痛み・かゆみがある
下腹部会陰部に鈍痛・違和感がある
健康診断で尿潜血・尿蛋白を指摘された
お子様のお悩み
陰嚢が腫れている、痛くなってきた
男性更年期障害が心配だ
(肉眼的に)血尿が出た
前立腺がん腫瘍マーカー
精液が赤い
精液検査希望
病気の詳しい説明
男性・女性の頻尿
原因
- 前立腺肥大症(男性の場合)
- 膀胱炎(女性の場合)
- 加齢による膀胱容量減少
- 水分の摂取過剰
- 膀胱が過敏(過活動膀胱)
- 薬剤の副作用による残尿
- 夜間頻尿
夜間頻尿の場合、以下の原因も考えられます。
高血圧
糖尿病
腎機能障害
不眠症
心臓機能低下(下肢浮腫)
検査
①尿検査、血圧測定
②常用薬の確認
③腎臓前立腺超音波検査
④尿流量測定、残尿測定(超音波)
⑤血液検査(糖尿病、腎臓機能、BNP、PSA)
⑥水分摂取量と排尿日誌(おしっこの家計簿)
⑦排尿問診票(IPSS)
治療
- 前立腺肥大症治療薬(男性の場合)
- 抗生剤
- 膀胱過敏改善の抗コリン剤
- 水分摂取に関する指導
- 高血圧糖尿病の改善
- 利尿剤処方
- 下肢拳上
- フットマッサージ
前立腺肥大症
前立腺は精液を作っています。加齢とともに肥大し、尿道を締め付けるため、以下のような症状が現れます。
症状
- 尿の勢いが悪くなり、時間がかかる
- 尿回数が増える
- 残尿感がある
- ちょい漏れする(きれが悪い)
- 我慢できず漏れてしまう
検査
①尿検査
②前立腺の形、大きさを超音波検査
③尿流量測定、残尿測定
④前立腺を肛門から触診
⑤血液検査、PSA(前立腺がんとの鑑別のため)
治療
処方薬を使用します。
具体的には、α1遮断薬、PDE5阻害薬、5α還元酵素阻害薬、漢方薬などです。
頻尿の際には、抗コリン薬、β3作動薬などを併用します。約2週間内服していただき、内服効果を観察します。
効果があれば、基本的に内服加療を継続します。
当クリニックでの治療経過
患者様からは経過提示の御許可をいただいております。
65歳 男性
ふとした時に尿が漏れるようになり、近隣の先生からのご紹介で受診されました超音波検査では、膀胱が拡張し、下腹部の膨隆がありました。前立腺は約57㏄と腫大し、尿閉状態のため、導尿にて1100mlの排尿がありました。
導尿時の内視鏡では、肥大のために前立腺部尿道が圧迫されています。
検査後は尿路感染を併発する可能性があるので、 抗生剤の処方と、前立腺治療薬α1ブロッカーを処方しました。
投薬後は、排尿状態が改善され、尿漏れの症状が改善しています。
下肢浮腫(足のむくみ)
下肢のむくみは、いろいろな原因で起こります。
心臓機能低下、血液の栄養バランスが不良、腎機能低下、下肢血流障害、甲状腺機能低下症などが原因になります。
また、健康な方でも、夕方以降、むくみが出てくる方もいらっしゃるかと思います。一日中、活動し歩行することにより、下半身に水分が貯留します。
夜間頻尿の方へ
夜間床に就くことにより、下肢から上半身にむくみの水分が戻り、夜間尿量を増加させるために、頻尿が引き起こされます。
当クリニックでは、まずは、下肢浮腫を引き起こす御病気が無いことを確認した後、下肢浮腫改善の検査治療指導を試みることにより、夜間頻尿の改善をしていきます。
予防法
むくみ予防に弾性ストッキング、レッグリフレをおすすめいたします。
当クリニックでの治療経過(夜間頻尿 下肢浮腫)
患者様の経過提示のご許可はいただいております。
77歳 女性
夜間の尿回数が多く、間に合わずに 漏れてしまうため、10月受診されました。
かかりつけ内科の先生より、頻尿の改善薬として抗コリン薬が処方されていました。
尿顕微鏡検査で白血球を認め、尿比重が1.009と低比重(尿が薄い状態)でした。
診察では、ふくらはぎ(下肢)を指で押すと、凹みがあり浮腫を認めました。
腎臓超音波、膀胱残尿測定、血液検査(BNP)、排尿日誌をつけていただきました。
23時に就寝してから朝7時に起床するまで、 計4回トイレに起き、夜間尿量が合わせて850mlありました。
BNP138pg/ml(脳性Na利尿ペプチド)心不全で水分過剰な時に上昇します)の上昇を認めました。
血圧も朝方176/102と高いようです。
夜中の尿量が多いために、夜間頻尿を引き起こしており、その原因は、1日活動した後の下肢の浮腫みの水分が夜、就寝中に心臓腎臓に戻るため、尿が増加することをご説明しました。
利尿剤を開始し、弾性ストッキングを使用していただいたところ、下肢の浮腫が軽減するとともに、夜間尿量が350mlと低下し、トイレの回数は2回まで減ってくるようになりました。
腎臓結石・尿路結石
腎臓で形成された結石が尿管へ移動し、陥頓により尿流が塞き止められるため、疼痛が発生します。
出典:尿路結石の検査、住友製薬、2000年7月
検査
尿検査、超音波検査、腹部CTをします。
鑑別疾患に、動脈瘤、膵炎、腎梗塞があるため、慎重な判断が必要です。
治療
8mm以下の場合
自然排石により治癒する可能性があります。
内服加療(排石促進剤、鎮痙剤、疼痛剤)を行い、経過観察します。
10mm以上の場合
排石治癒の可能性が乏しいため、体外衝撃波破砕術、内視鏡下砕石術が必要です。
連携病院へご紹介いたします。
尿路感染が合併している場合
感染が重篤になることがあり、抗生剤投与を必要とします。
腎臓結石の溶解療法
尿PHが酸性の場合には、内服加療でアルカリ化させます。
その他
クランベリージュースが有効との報告があります。ピーナッツ、チョコレートにはシュウ酸成分が多く、シュウ酸カルシウム結石生成を助長させます。
尿路上皮がん
腎臓尿管膀胱は移行上皮という粘膜に覆われており、そこから発生する腫瘍を尿路上皮がんといいます。
腎腫瘍、腎盂腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍など、痛みが出ないことが多く、血尿のみが症状のため、放置してしまう方がいらっしゃいます。また、高齢者の方は、膀胱炎の基礎疾患のことがあり注意が必要です。
検査
尿検査超音波検査
CT尿細胞診
膀胱内視鏡検査
腫瘍が疑われる場合には、高次医療機関へご紹介させていただきます。
参考資料
膀胱がんをよく知るために 明治製菓株式会社パンフレット 2006年、7月 より。
腎機能低下Cr上昇
クレアチニンCrの基準値は男性が0.5~1.0mg/dl 女性が0.4~0.8mg/dlとされています。
男性と女性とで基準値が異なるのは筋肉量に違いがあるからです。
クレアチニンCrについては、病気のお話第3回「腎機能低下Cr上昇のお話」にて詳しく説明しています。
腎機能低下Cr上昇の原因
急性的原因
- 熱中症
- 脱水
- 熱傷…など
慢性的(ゆっくりと低下)原因
- 肥満
- 喫煙
- 高血圧
- 糖尿病
- 高脂血症
- 加齢
- 慢性腎炎
- ネフローゼ…など
検査
- 尿顕微鏡検査
- 尿蛋白検査
- 腎臓超音波検査
- 血圧測定
- 血液検査(腎糸球体濾過量GFR、基礎疾患精査)
治療
- 原因に準じた食事、水分指導
- 生活習慣病の治療
尿失禁
尿失禁の種類
- ①頻尿に伴う切迫性尿失禁(トイレの回数が多く、間に合わずに漏らしてしまう)
- ②腹圧性尿失禁(くしゃみ、運動、重たい荷物を持ち上げるなどの時に漏れてしまう)
- ③混合性尿失禁(①②が両方ある場合)
- ④ご自身の気づかないうちに、漏れてしまう場合
上記の失禁タイプを問診、検査で鑑別します。
検査
- 問診(常用薬の確認)
- 尿顕微鏡検査
- 腎臓膀胱超音波検査
- 残尿検査(超音波)
- 腹圧性の場合、内診にて膀胱下垂の確認
治療
①頻尿に伴う切迫性尿失禁
頻尿の原因改善とともに、過活動膀胱薬を使用します。
②腹圧性尿失禁
骨盤底筋群体操の指導とともに、過活動膀胱薬を使用します。
干渉低周波(ウロマスター)の併用も検討します。
失禁量が多く改善のない場合は、手術が必要になることもあります。
過活動膀胱治療薬は、緑内障(眼圧が高い)、不整脈、口渇の方には注意が必要となります。
③ご自身の気づかないうちに、漏れてしまう場合
加齢、内服薬の副作用による神経因性膀胱(排尿の力が衰えることによる残尿貯留)の可能性があるため、排尿筋をサポートする薬を使用します。
尿潜血・尿蛋白
尿潜血について
健康診断での尿潜血反応は、試験紙を用いて行います。
以下のようなさまざまな病気が尿潜血の原因になる可能性がありますが、顕微鏡下尿検査で、正常範囲のことも多くあります。
尿沈渣潜血反応の程度(1+、2+など)と尿沈渣赤血球数は一致しません。
原因
- 膀胱炎
- 尿路結石
- 腎腫瘍
- 腎盂腫瘍
- 膀胱腫瘍
- 糸球体腎炎
- 顕微鏡的血尿
- 運動後生理的血尿
- 特発性腎出血
- ナッツクラッカー症候群
- 遊走腎
- 抗凝固剤内服
検査
尿検査(試験紙法、顕微鏡尿沈渣)
腎臓膀胱超音波検査
必要に応じて、CT検査
顕微鏡下尿沈渣にて赤血球数に問題がなくても、尿蛋白陽性の際は糸球体腎炎の可能性があるため、潜血よりも尿蛋白の原因精査が必要になります。
鑑別疾患として、腎炎(日本人に多いIgA腎症、ネフローゼ)、CKD(高血圧、糖尿病)などがあります。
当クリニックでの治療経過
患者様からは経過提示の御許可をいただいております。
59歳 女性
以前から、会社の検診で尿潜血を毎年指摘されており、そのたびごとに病院での検査を受け異常なく経過されていました。11月、排尿後のティッシュに血液が付着して来院。
尿顕微鏡検査では赤血球を多数認め、超音波検査にて膀胱腫瘍が疑われました。
そのため、即時、膀胱ファイバースコープを施行。乳頭状有茎性膀胱腫瘍を単発認めました。
当クリニックでは内視鏡手術の設備がなく、医療連携病院へ御紹介させていただきました。
経尿道的膀胱腫瘍切除術を受けられ、幸い、表在性腫瘍、単発だったため治癒切除となっており、現在、定期的経過観察となられております。
尿道炎
細菌感染により、尿道で炎症が起きている状態です。
原因
性交渉後の場合
透明状の分泌物が出る場合、クラミジア感染(潜伏2~3週間)の可能性があります。
黄色の膿が出る場合、淋菌感染(潜伏1週間)の可能性があります。
どちらも混合性感染することもあります。
性交渉の可能性が乏しい場合
疲れ、寝不足、免疫低下などにより、雑菌(腸球菌、ブドウ球菌)などに感染していることが考えられます。
ご高齢の方の場合には、尿路腫瘍の可能性があり、注意が必要です。
検査
尿顕微鏡検査
尿培養検査
薬剤感受性テスト
尿中クラミジア淋菌PCR法検査
治療
抗生剤を1週間内服加療していただき、再診時に尿検査を行います。
改善が見込めない場合は、薬剤抵抗性の可能性があるため、感受性試験の結果を参考に他の抗生剤に変更します。
淋菌感染が疑われる場合、薬剤耐性菌の可能性があるため、抗生剤点滴加療+内服加療をおすすめします。
お酒、刺激物、性交渉は避けてください。喫煙は問題ありません。
性病(クラミジア、淋菌)が検出された場合は、治癒確認のため、必ず再検査をおすすめいたします。
急性前立腺炎・
慢性前立腺炎
前立腺炎には、急性と慢性があります。
急性前立腺炎は高熱、排尿時痛、排尿困難を伴います。
慢性前立腺炎(慢性骨盤疼痛症候群)は、残尿感、下腹部会陰部鈍痛を伴います。
疲れ、ストレス、寝不足、飲酒をきっかけに発症することが多く、治療後に再発することもあります。
検査
尿顕微鏡検査前立腺マッサージ後尿検査前立腺超音波検査
治療
慢性前立腺炎は長引く可能性があり、気長な治療が必要になることがあります。患者様に合う薬、生活習慣を一緒に、ご提示させていただきます。
- 抗生剤内服
- 漢方薬
- 消炎鎮痛剤
- 前立腺排尿改善薬α1ブロッカー
現在、骨盤内加温療法を検討中です。
前立腺がん
2020年には男性がんの第2位と増加傾向にあります。50歳を過ぎたら、一度は前立腺がん検診をおすすめします。初期は症状が出づらいため、注意が必要です。
前立腺は男性ホルモンで増殖します。血液検査でPSAが高い場合には、がんの疑いがあります。ただし、4~10の値をグレーゾーンと呼び、がんである確率は20%くらいです。
検査
直腸診で前立腺に触れ、ビー玉のような硬いしこりがないか確認します。
また、PSAが正常でも、がんが潜んでいることがありますので、直腸診、経直腸前立腺超音波検査はとても大事です。
前立腺生検にて確定診断を行い、画像検査にて深達度、転移の有無などを調べた後、治療計画となります。
当クリニックでは、前立腺生検は、日帰りで、仙骨麻酔下で痛みがないように検査しています。
治療
前立腺がんの治療には、いろいろな方法があります。
①前立腺全摘出術(開腹、腹腔鏡、ロボット支援ダ.ヴィンチ)
②放射線治療(外照射IMRT、重粒子線、陽子線、小線源)
③内分泌治療(皮下注射、内服薬)
④抗がん剤
⑤無治療経過観察
治療方針を決めるにあたって
患者様の年齢、治療中の御病気、がんの悪性度、広がり具合、患者様のご希望など、いろいろな因子を考慮して方針が決まります。治療内容によっては、生活の質(QOL)を下げてしまうこともあるため、しっかりとした相談のうえ決定する必要があります。
幸い、前立腺がんの進行はゆっくりですので、じっくりと熟考する時間はあります。
納得のいくまで、検討されることが大事です
当クリニックで確定診断をされた方はもちろん、現在、前立腺がんのご不安がある方は、お話を伺うことが可能です。お気軽にご連絡ください。
過活動膀胱
過活動膀胱とは、尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿を伴います。
過活動膀胱診療ガイドラインによれば、切迫性尿失禁は必須ではありません。回数が多く、急に、排尿をしたくなって我慢ができないことが多いです。最近では大勢の患者様が潜在していることが分かってきました。
60歳以上女性の5人に1人は症状があり、約810万人が有病していると推測されています。
帰宅時玄関先で、台所の水仕事で、仕事中に尿意が強くなり我慢しづらいなどの症状が特徴です。
原因
- 加齢
- 骨盤底筋のトラブル
検査
- 尿顕微鏡検査
- 腎膀胱超音波検査
- 超音波下残尿測定
- 過活動膀胱問診票
治療
尿路感染や腫瘍のないこと、排尿状態を確認後、内服加療開始となります。
一例
内服薬
- 抗コリン薬
- β3作動薬
どの薬品にも一長一短があり、患者様に合う薬品を選ぶことが大事になります。
意外と水分を多く摂取されている方が多く、問診、水分摂取においての適切なアドバイスも大切です。
当クリニックでは、内服治療経過に改善がない場合は、干渉低周波(ウロマスター)を用いて治療していきます。
急性膀胱炎・慢性膀胱炎
膀胱炎は、外部から大腸菌などの細菌が膀胱内に入り込み、炎症を起こします。排尿時痛、頻尿、残尿感、血尿、尿混濁、下腹部痛など、さまざまな症状が特徴です。
検査
- 尿顕微鏡検査
- 尿培養検査
- 薬剤感受性試験
- 腎臓膀胱超音波検査
治療
尿路感染感受性の高い抗生剤の内服を行います。ほとんどの方が、内服翌日には症状が改善してきますが、薬剤抵抗性の細菌感染の場合、1種類目の薬剤では効果がありません。その場合、感受性試験結果を参考に、効果がある薬への変更が必要になります。
膀胱炎を繰り返し、すっきりしない方
尿検査が正常でも、内視鏡検査では、膀胱三角部粘膜に浮腫状変化が生じていることがあります。慌てず、ゆっくり直すことが必要です。
抗生剤の追加投与は薬剤耐性菌感染を起こしたり、カンジダ膣炎を引き起こしたりすることがあります。必要に応じて追加処方します。
多少、頻尿になるかも知れませんが、お茶(カテキン効果)の十分な摂取利尿効果、膀胱の刺激緩和として過活動膀胱の薬、漢方薬を使用いたします。
ご高齢の方へ
膀胱炎治療後は、必ず、もう一度、尿検査をおすすめします。
お若い方と異なり、膀胱腫瘍を基礎疾患に感染を起こすことがあり、注意が必要です。
膀胱炎に関してよくある質問
膀胱炎は自然に治りますか?
膀胱炎は、十分な休養を取ることで自然に症状が治まることがありますが、膀胱内に細菌が残ったままの場合、ふとしたきっかけで再発してしまうことがあります。また、細菌感染が腎臓にまで進むと腎盂腎炎を発症してしまうこともあります。
当クリニックでは、抗生物質によって膀胱内の細菌を確実に退治できますし、何より早く症状を和らげることができますので、受診をおすすめいたします。
女性ですが、膀胱炎になってしまい恥ずかしいです。
膀胱炎は、身体の構造の点などから女性に多い病気で、女性が膀胱炎になることは特別なことではありません。受診時も患者様のご要望に配慮して診察させていただきますので、ご安心ください。
膀胱炎になった際、日常生活で注意することはありますか?
膀胱炎は、免疫力の低下によって起こりやすいとされていますので、十分な睡眠・休養を取るようにしましょう。
また、排尿は膀胱内の細菌を洗い流す働きもありますので、こまめな水分摂取も大切です。
ただしビールは利尿作用がある半面、アルコールが炎症を悪化させてしまう要因になるため、飲むのは控えましょう。
入浴はしても大丈夫ですか?
陰部を清潔に保つためにも、入浴をおすすめいたします。
当クリニックでの治療経過
患者様からは経過提示の御許可をいただいております。
54歳 女性
膀胱炎を繰り返し抗生剤を何度か内服していました。 排尿後にすっきりしないモヤモヤ感があり受診しました。
尿検査では白血球は認めず、尿路感染はありませんでした。慢性膀胱炎の可能性があり、膀胱ファイバースコープを行いました。
膀胱粘膜は浮腫上に変化し、全体的に赤みを呈しています。繰り返しの膀胱炎のため、粘膜が荒れている状態です。そのために排尿後のモヤモヤ感が出現しています。
抗生剤の治療ではなく、漢方薬と膀胱の刺激緩和薬を使用し、だいぶ改善を得てきました。 症状も楽になられたようです。
陰嚢内疾患
陰嚢部は男性の急所です!しっかり治しましょう。
以下の症状で心当たりがある場合はご相談ください。
痛みはなく柔らかい腫れ
- 疾患:陰嚢水腫、精液瘤
- 治療:陰嚢内容穿刺。再発の可能性があり、根治には手術が必要。当クリニックでは日帰りにて手術をしております。
痛みがあり赤く腫れている
- 疾患:精巣上体炎
- 治療:性交渉のあった場合、性病の検査が必要。抗生剤の内服。
御高齢の方は、基礎疾患が潜んでいることがあるため、糖尿病、尿路検査が必要。
痛みはないが、硬く急に大きく腫れてきた
- 疾患:精巣腫瘍
- 検査:超音波検査、血液腫瘍マーカー検査、CT検査
陰嚢に左右差があり、重たい痛みがある
- 疾患:精索静脈瘤
- 検査:超音波検査
急に耐え難い痛みが陰嚢に感じる
- 疾患:精巣回転症
- 治療:精巣壊死を防ぐため、緊急手術が必要
陰嚢を打撲し、皮膚が紫色に怒張している
- 疾患:精巣破裂
- 治療:手術が必要
陰嚢だけでなく、下肢もむくんでいる
- 疾患:心不全、肝硬変
下腹部が飛び出して、引っ込む
- 疾患:そけいヘルニア(脱腸)
血尿
ご自身で気付かれる血尿を肉眼的血尿といいます。
原因
尿路結石
尿路上皮性がん
腎炎腎出血特発性
腎出血抗凝固剤の内服
出血性膀胱炎
肝臓機能低下によるビリルビン尿
水分摂取不足による褐色尿
前立腺肥大症
陰嚢被角血管腫など
検査
内服薬の確認
尿顕微鏡検査
尿細胞診
腎臓膀胱
超音波検査
CT膀胱内視鏡検査
治療
出血の原因により、内服加療または手術を必要とすることもあります。
夜尿症(おねしょ)
幼稚園児のおねしょはおかしくありませんが、小学生が1週間に何度もおねしょをしてしまうとなると、医療介入が検討されます。
検査
原因を探るため、①夜間の尿量と、②我慢したときの膀胱尿量測定が必要です。 夜間多尿型か膀胱容量減少型のいずれであるかを判断し、尿検査、尿比重、腎臓膀胱超音波検査を行います。
治療
生活食事指導、膀胱訓練、薬物治療を取り入れていきます。
ご両親は、起こさない、怒らない、焦らない、の三原則で、焦らず一緒にがんばりましょう。
2016年に夜尿症ガイドラインが改訂され、積極的な抗利尿ホルモン剤が推奨されています。
お子様の包茎・
亀頭包皮炎について
おちんちんの皮膚の先の口が狭く、亀頭部の露出ができない状態が真性包茎、なんとか露出できるのが仮性包茎です。
日本小児外科学会によると1歳で80%、1歳~5歳で60%、小学生で30%といわれています。
思春期以降、改善の可能性があります。真性包茎だと、亀頭部で細菌感染を起こしやすく、包皮炎を発症します。
治療
真性包茎の場合
包皮癒着剥離、反転ができないため、抗生剤を内服して炎症改善後に、保存的療法または外科療法を検討します。
保的療法
皮膚が裂けないように、ステロイド軟膏を使用してめくる訓練をします。
外科的療法
乳幼児の皮膚は成長とともに治る可能性もあるため、繰り返す亀頭包皮炎、家族の希望などで、検討する必要があります。背面切開術、環状切除術の2種類があります。
仮性包茎の場合
抗生剤内服または小児仮性包茎剥離術を検討します。剥離後は、ステロイド軟膏を塗布します。
図のように包皮輪が狭いと、真性包茎のため亀頭部露出ができません。
右端図の状態ならば、剥離処置により露出が可能です。
成人の包茎について
包茎には、真性包茎と仮性包茎があります。
真性包茎は亀頭部の露出ができない状態です。
亀頭部の露出ができないと、不潔な環境となり、亀頭包皮炎、腫瘍の発生頻度が高まります。
また、性交渉にも支障がでてくるかと思います。
また、仮性包茎であっても、包皮先端が狭いと、性交渉時などに包皮から僅かですが出血し、その傷が治癒する過程でさらに、狭くなってゆく経過をたどります。
また、余剰包皮は陰部毛を巻き込んだり、下着汚れの一因にもなりうります。
治療
当クリニックでは、泌尿器科専門医として、包茎治療の橋渡しに取り組んでおります。
病院で施行されることが多い一般的環状切除術は、包皮内板を大きく残すため、傷痕が目立ち、皮膚の色が2段階(ツートンカラー)となり、縫合部が盛り上がる状態になります。
当クリニックでは、美容外科技術を取り入れ、環状切除術に亀頭直下切開法を施し、上記のデメリットを改善しております。
また、院長は都内有名包茎クリニックにても施術しており、安全正確な方法で治療を行っております。
麻酔は陰茎根部皮下に環状に注射いたします。
麻酔薬は1%リドカイン(作用発現早い)と0.75%アナペイン(長時間作用)を使用し、術中の痛みはほとんど感じずに施行しております。
料金のご案内
包茎治療に対しては自費診療とさせていただき、仮性・真性・かんとん包茎の全ての状態に対し70,000円(税抜)の料金提示をさせていただいております。
手術施行時には診察料は上記費用に含ませていただき、手術に関わる点滴・投薬・再診料は全て、手術費用に含みます。
保険診療下(真性包茎)の環状切除術をご希望される場合は、保険初診料のもと相談の上、一般的環状切除術となることをご了承ください。
手術料金(亀頭直下切開法) | 70,000円(税抜) |
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手術希望の方はこちらもご覧ください。
精液検査
精液検査は、男性不妊症の診断において大事な検査です。院内でマクラー精液分析顕微鏡を用いて測定します。その後、外注委託検査機関にてダブルチェックいたします。なお結果は即時、御説明可能です。
院内、およびご自宅での精液検査が可能です。電話で予約日をお伝えください。
ご自宅での採取希望の方は、検査容器をお持ち帰りいただき、後日予約日の検査提出となります。
どちらも、2~3日間の禁欲時間は必要です。検査をご希望の方は外注委託検査機関への予約が必要なため、電話予約をお願いいたします。
Tel 048-430-2266
検査項目
精液量
精子濃度
総精子数
精子運動率
費用
精索静脈瘤などに合併しての精液検査は保険診療となりますが、精液検査のみご希望の方は、自費診療(5,000円)となります。ご了承ください。
注意点
精液検査は2~3日間の禁欲期間を設けていただきます。 データが不良の際には、変動による可能性もあり、2回お受けいただく必要があります(日本不妊学会推奨)。
精索静脈瘤
精巣を栄養とした血液が戻る内精静脈の還流が不良となり、瘤が発生し、痛みを感じます。原因は不明です。合併症として、精子運動率低下、精子数低下による男性不妊症があり、挙児を検討中の方は、精液検査をおすすめします。
検査
超音波カラードップラー法で、血流を測定します。
触診・視診を行います。
精液検査は、当クリニックにて顕微鏡検査後(当日御説明)、外注検査に委託し、ダブルチェックいたします。ただし、データ不良の際には、少なくとも2回の検査が推奨されています(日本不妊学会より)。
治療
治療の必要性は、疼痛症状の程度、精液所見などで検討します。
鎮痛剤
陰部に痛みが出た場合に内服します。
漢方薬
もともと、めまい、のぼせ、腹痛を良くするといわれている漢方薬ですが、最近、静脈瘤に効果があることが分かりました。
手術
血流を遮断します。遮断後の血流は毛細血管を通じて還流します。
当クリニックでの治療経過
患者様からは、経過提示の御許可をいただいております。
33歳 男性
以前から、左足の付け根あたりに、違和感とともに、痛みを感じていました。
近隣、整形外科受診されるも、原因がわからず、当クリニックを受診されました。
所見としては、足の付け根よりも左陰嚢に原因がありそうでした。
左側の陰嚢が大きくなっており、超音波検査では、左精索静脈瘤グレード3を確認いたしました。
精索静脈瘤は男性不妊症の原因となることがあり、ご結婚約2年半の現在、挙児がないとの故、精液検査を施行しました。
結果は残念ながら、精子濃度 920万/ml、運動率 28%と精液所見が不良であり、疼痛も伴うためT大学病院泌尿器科にての顕微鏡下低位結紮術を御紹介させていただきました。
精液瘤
精子は睾丸で作られた後、副睾丸(精巣上体)、精管を通過して精嚢へ運ばれます。
精液瘤とはその副睾丸の一部が脆弱になり、薄い膜状に風船のように膨らんで、その中に精子が溜まっている状態を指します。
泌尿器科医でも、陰嚢水腫と鑑別を誤ることがある病気なので注意が必要です。
手術
精液瘤は痛み、違和感が強くなければ、放置していても問題はありません。
文献的には、ピンポン玉のサイズまで大きくなってから、手術を受けられる方が多いようです。
この手術は、膨らんだ薄い膜を、綺麗な風船状に摘出しなければ、再発の懸念があります。
手術自体の危険性はありませんが、経験豊富なドクターの執刀をおすすめします。当クリニックでは、日帰りでの手術が可能ですので、お気軽にご相談ください。
血精液症
精液は睾丸から運ばれた精子と精嚢、前立腺の分泌物が混じりあってできています。ピンク色または真っ赤、こげ茶色などの状態を血精液症といいます。
前立腺の炎症や、局所の循環不全が原因になります。ただ稀に、腫瘍、結石が原因のこともあります。また、前立腺がんの生検検査後に発生することもあります。
しかし、ほとんどの方が、特発性(原因不明)血精液症のことが多く、対症療法にて改善いたします。
男性としては、非常にびっくりし、大きな病気だったらとご心配されるかもしれませんが、適切な治療で改善いたしますので、ご安心ください。
検査
尿顕微鏡検査
前立腺超音波検査
前立腺直腸診
血液検査
前立腺がん腫瘍マーカーPSA
治療
止血剤
抗生剤内服
経過
精嚢に溜められた精液の排出のため、何度か射精していただく必要があります。
男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症候群LOH症候群)
女性は閉経を機会に女性ホルモンが低下し、更年期障害を引き起こすことが知られていました。
最近、男性においても、加齢により男性ホルモンが低下し、諸症状との関連性が指摘されています。
症状
- 性欲と勃起機能の質と頻度減退
- 知的活動認知力低下および疲労感、短気などに伴う気分変調
- 睡眠障害
- 筋肉量と筋力の低下
- 内臓脂肪の増加
- 体毛と皮膚の変化
- 骨減少症と骨粗鬆症に伴う骨折のリスク増加
精神症状はうつ病と類似しており、慎重な鑑別が必要になるため、心療内科受診をおすすめすることもあります。
質問紙
aging male's symptom(AMS)スコア
検査
- ホルモン学的検査(FSH、LH、遊離テストステロン値)
- 一般検査(身長、体重、血圧、心電図、血液検査)
- 尿検査(HbA1c、前立腺がんマーカーPSA)
- 泌尿器科的検査(精巣容積、体毛、前立腺超音波)
治療
アンドロゲン補充療法(ART)によります。
LOH症状を有する40歳以上男性で、遊離型テストステロン値が8.5pg/ml未満ならARTを第一治療として、8.5~11.8pg/mlなら治療選択肢として考慮します。
アンドロゲン補充療法(ART)の除外基準
- 前立腺がん
- 中等度前立腺肥大症
- 乳がん
- 多血症肝機能腎機能不全
- 心不全
- 高血圧
- 睡眠時無呼吸
当クリニックでの治療経過
患者様からは経過提示の御許可をいただいております。
57歳 男性
半年くらい前から寝つきが悪く、意欲がなくなったわりには、不安感があり、 更年期障害をご自身で疑い、10月受診されました。
- 問診ではaging males symptoms (AMS)スコア 50点
- 超音波検査では 精巣容積正常 前立腺肥大症は認めず
- 血液検査結果 男性ホルモン(遊離型テストステロン)5.6pg/ml
- 下垂体ホルモンLH9.8 mIU/ml FSH7.6mIU/ml
- 前立腺がんマーカーPSA 2.7ng/ml
- 遊離型テストステロンが 5.6pg/mlと正常域より低下していました。
男性更年期障害の可能性あり、エナルモンデポー125mg 1回/2週で治療開始、投与3か月に入り、テストステロン値上昇15.8pg/mlとともに、AMSスコア 39点となり症状の軽快を感じていられます。
とくに、意欲、不安感の改善に効果があった様子です。
患者様の御希望もあり、副作用に注意しながら、投与は継続予定になっています。